医療法人社団 泰青会
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日常の歯科治療の場でよく質問されることを記載しました。
きっと読んだら愕然とするかもしれません。
でも長いですよ。

  

歯に関する素朴な疑問
 
直接歯科医師にその質問を投げかける方は少ないのですが、歯を失なった方は、全員が思っていることだと思います。
毎日歯を磨いているのに、歯周病に罹って歯が揺れ始めて失われていく。どうしてだろう?

今までこの質問に解答できる術が、歯科医師側にもありませんでした。
近代の歯周病治療は1965年に始まります。
以前は、歯周病は歯石が原因であると考えられていました。
そこに、歯周病はプラーク(歯の垢)が原因である、と発表されたのです。これが近代の歯周病治療の始まりとなりました。
ブラッシングが推奨されるようになり、歯科医師達の指示で人々は歯を磨くようになります。
しかし、多くの方がブラッシングしても、歯周病の進行が止まらなかったのです。
1986年に、ブラッシングをあまりしない集団を研究したところ、ブラッシング不良でも重度の歯周病者がたった8%くらいで、まったく歯周病に罹っていない健康集団が11%も存在していたのです。
歯を磨かなくても、歯周病じゃないなんて!?
つまり、プラークだけでは歯周病は発症しない、ということが明らかとなりました。
歯科治療のパラダイムシフトです。歯科医師達は騒然となりました。
一体、歯周病の原因は何なのだろう???
その後の研究でプラーク中の細菌が原因であると判明し、1990年代になり特定の細菌が原因であると判明しました。
ついにはDNAから歯周病菌に対する感受性が突き止められ、現在のアメリカではPST検査で歯周病菌に対する感受性検査を行っています。
現在では、歯周病菌を排除するためにその塊である歯石除去と薬剤の併用が主流となっています。
また、鏡を持ってブラッシング指導も行われるようになりました。適切なブラッシングが治療に有効であると判明したからです。
30歳頃から歯周病罹患率が高くなりますから、1986年で既に30歳代を迎えていた方にとっては、歯科医師側にも、治療しようにも十全なスキルがなかった、ということになり、病気に合致した治療を受けられなかった、ということになります。
1960年代に鏡を持ってこう磨いてください。ここはこうですね、といった指示は当時ありましたか?
なかったはずです。歯科医師側も知らなかったのですから。
昔、結核は不治の病でした。ペニシリンの登場で治療成績は飛躍的に向上しました。
歯周病も同じことです。
治療する歯科医師側にも、現在の治療法が確立するまでに様々な苦闘があったのです。今でもその途上にありますが。
歯周病で悩まされている方にとっては、とても悲劇的なことだと思います。
これから30歳を迎える方は、口腔内から歯周病菌をできるだけ排除するようブラッシング、洗口を行い、定期的な歯石除去を行えば良い、ということになります。
DNAから歯周病に罹りやすいか定められているのですから、歯周病菌の感受性が高い方は感受性の低い方と同じことをしてもだめなのです。
そして、歯周病に対する感受性が低い方が、歯周病に罹るということは、喫煙、口腔内不衛生などが主な原因です。禁煙と的確なブラッシングが必要となります。
もとは歯周病に罹りにくいのですから、感受性が高い方よりも、プロフェッショナルケアの回数は少なく済むはずです。セルフケアが重要となります。
以上のことから、憤懣やるかたない方もいると思いますが、当時に今の治療法が存在しなかったのは非常に残念なことです。
また、進行性の歯周病の方の90%以上が喫煙しているというデータがあり、喫煙をやめれば歯周病の進行が止まることが判明しています。
アメリカ人歯科医師のセミナーを受講すると、喫煙が辞められない人はメンタルクリニックで管理してもらってください、喫煙している限り治りませんと、ものすごくきっぱりと怖いくらいに言われます。そのくらい、喫煙はリスクファクターなのです。



→つづく


歯を磨いているのにどうして歯を失うのでしょうか?